ハッスルおばあちゃんのアルゼンチン日記


by ruriwada

瑠璃通信30、サルタ旅行Ⅱ

翌日は「Safari a las nubes (雲へのサファリ)」と言う、最高4200メートルの高さの峠まで行く、アンデス山脈ツアーである。朝6時にサルタを出発、夜の9時半に戻る予定。事務所がサルタホテルのすぐ側にあり、事務所前からモビトラックで出発する。
出発後一時間ほどは暗い中を走るので、しばらくお休みタイム。目が覚めると外はすっかり明るくなっていた。
「バスを降りて少し歩きましょう」と、ガイドのラミロに言われ、全員バスを降りる。辺りは一面赤茶けた岩と砂だけの山地で、人間がバンザイをしているような形のサボテンだけが林立している。高さは50センチぐらいのものから3メートルぐらいの物まである。1年に数センチしか伸びないそうだ。
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地面に降り立つと、線路が走っている。スイッチバックを繰り返しながら、チリとの国境近くにある鉄橋まで行く「雲の列車」であるが、残念ながら今は休業中で、来年再開されるらしい。
線路の上を500メートルほど先の駅舎まで歩く。バスは先に行っていて、私達が到着した時には朝食の準備が出来ていた。前の席の椅子が回って向かい合わせになり、真ん中にかなり大きなテーブルがセットされている。メディアルナ(半月と言う意味、クロワッサンのこと)と飲み物、リンゴの朝食。
ラミロは陽気でとても気がつく好青年。おまけにハンサム。しきりに冗談を言って場を盛り上げ、音楽で踊り出したりと、実に元気ハツラツ。22才だそうだ。
私達夫婦にも絶えず声をかけ、「どう?モビトラック気に入った?楽しい?」と聞くので、
「ええ、とても。あなたがとても優しいから」と言うと「ボクを養子にしてくれる?」。
こちらも合わせて「勿論。日本に連れて行く」と応じると、「ああ、ママー」と、固くハグ(抱きしめられ)されてしまった。バスの中は大笑い。私はデレッ。夫はブスッ。
バスはメルセデスベンツ社のトラックバス(モビトラックと言う)で、宇宙船の中の様に実に機能的でコンパクトに色々な物が収められている。トイレ、キッチン、電子レンジ、冷蔵庫付き。
運転手は2人いて交代に運転。座席は20人乗り。バスの屋根がスライドして、座席の上に立ち、半身を出して360度のパノラマが見渡せるようになっている。
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1秒ごとに岩の色、形を変えて、果てしなく広がるアンデスの山々。走るバスの屋根上からの眺めは素晴らしいが、標高4000メートル近いので、バス備え付けのポンチョを被っていても凍えるような寒さだ。おまけに風が強いのでよけい寒い。時々座って体を温めずにはいられない。
バスは岩山を削った道を走るので、片側は切り立った崖、もう片側は谷底と言う所がほとんどだ。谷底を川が流れているが、川原は岩地や樹木の茂っている所、真っ盛りの桃の花でピンクに覆われている所、真っ白い砂浜になっている所と、実に変化に富んでいる。
水際はまるでレースで縁取りしたように真っ白いリボン状の線が続いている。塩の結晶だそうだ。アンデス山脈は大昔海の底だったのだ。水は雪解け水なので真水とのこと。
バスは上ったり下ったりを繰り返しながら、ひたすら岩山の間を駆け抜ける。と、突然視界が開け、荒野の中に茶色にくすんだ町が現れた。San Antonio de los Cobres で、宣教師のサン・アントニオが発見した銅高山の町だ。
インディオの少年少女が鉱石や土産品を売りに寄って来る。2~3才の子供に民族衣装を着せ、ロバを引いて、記念写真を撮らせる少年もいる。 
ラミロが「物を買うのは良いが、お金を与えないで。それにけしてキャンディを上げないで。虫歯が問題だから」と皆に警告。
ここでバスの中で昼食。ローストビーフと野菜サラダだが、なかなか美味い。
食事を終えて又荒野の中をしばらく走ると、前方が真っ白になってきた。塩の湖だ。塩の湖を渡る手前で道を外れ、湖の中に入って行く。塩はカチカチだが、こんな重いトラックでも良く割れないものだ。
所々に四角に切り取った箇所があり、塩の下に水がある。湖上は台風並みの風の強さで吹き飛ばされそうになる。こんな中で塩で作品を作って売ってる人が数人いる。塩の切り出しは今はシーズンオフだそうだ。
長くここで働くと白血病になるそうで、ここでの仕事は2年間しか許可されていないと言う。四方見渡す限り真っ白い湖はまるで雪原のようだ。
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塩湖を過ぎると道はどんどん上りになって、海抜4200メートルまで上り詰める。ここから一気に2000メートル下まで、バスはヘヤピンカーブの繰り返しの道を下って行く。まるでジェットコースターに乗ってる気分。
ラメロが私に「ここからジグザグで下りるのがいい? それとも真っ直ぐ下りたい?」とふざけて聞くので、こちらもふざけて「真っ直ぐ下りたい」と言うと、「ワオー!それじゃ、屋根から飛び降りてね」で、又もや車内は笑いの渦。
下り切った所は盆地となっていて、インディオの集落があり、祭りのパレードとすれ違った。盆地の周囲を囲む岩山はCerro de 7 colores (7色の険しい小山)と呼ばれ、切り立った山の断層が本当に7色に輝いている。硫黄の黄、鉄の赤、石灰石の白、銅の青、その他ピンク、紫など。こんな岩を見たのは初めてだ。まさに息を呑む美しさとはこのこと。
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ここでバスを停めると、シャンパンが開けられ、運転手たちも含め全員で乾杯。
この後はバスの中でオリーブとポテトチップ、クッキーのおつまみでワインを飲みながら、一路帰路に着く。飲み物食べ物がふんだんの、サービス満点のツアーだ。もっとも、料金はその分高いけど。
事務所前に到着し、バスを降りて、ラミロにお礼と別れの握手をする時、チップを上げようとすると、「ノー、ノー」と言って、受け取ってくれなかった。アルゼンチンに来て以来こんなことは初めてで、ラミロの純粋さに感動した。
夕食はこれまた地球の歩き方に書いてある中国料理店「ロス・ドス・チノス」へ行く。大なまず(スルビ)のフライがあったので頼んだが、イグアスで食べたスルビのワイン蒸しに比べ、あまり美味しくなかったのでがっかり。店の雰囲気も今ひとつだった
by ruriwada | 2007-12-21 04:56 | Comments(0)