ハッスルおばあちゃんのアルゼンチン日記


by ruriwada

瑠璃通信2部 34 チリ旅行② 木の墓場

早朝、窓が赤く染まったので、起きて外を見ると、眼前のマゼラン海峡に朝日が昇る所で、その中をまっ白い客船が近寄って来るのが見えた。ウシュアイヤとプンタアレナス間を往復する定期観光船だそうだ。
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              マゼラン海峡を巡航する定期観光船
プンタ・アレナス午前9時発の定期観光バスでプエルト・ナタレスに向かう。プエルトナタレスはパイネ国立公園内にある無数の湖や、4千キロメートル級の山々への登山やトレッキングの入り口に当たる町だが、最寄りの飛行場はプンタ・アレナスなので、バスの乗客は背中にうず高く荷物を積み上げたリュック姿の人がほとんどだ。
約3時間の道中、人家はほんの10数軒だけ。途中までは片側に海が続いていたが、あとは見渡す限りのパンパ。道路沿いにはルピナスの花が咲き乱れている。パンパの中を馬を走らせるガウチョ(カーボーイ)を一人見かけたが、他には人は見かけず、目に入る生き物は羊や馬、牛、ダチョウ、グアナコ(鹿とラマに似た動物)ぐらいだ。2時間ほどすると林が見え始めたが、奇妙な現象に気がついた。
緑の木に交じって白い木が沢山ある。緑の木も半分が白くなっていて、朽ちた木が無数に散らばっているが、これが全部真っ白。まるで白骨だ。寄生植物がこのチリ南端の原野の木々を死に至らしめているのだ。
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    白く見えるのは全て寄生植物にやられている個所
酸性雨や気候の変化などで木が弱ったため、寄生植物がガン細胞の様に異常増殖したらしい。薬をまくと耐性が出来るので使えず、手をこまねいているようだ。朽ちた木も燃せば煙の公害が出るので放置されたまま。バスの窓から見てると、まるで木の墓場が延々と続いているように見える。
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         この白い苔が木を死滅させている犯人
by ruriwada | 2010-02-09 20:56 | Comments(0)