12月の始めにブエノスアイレスから300キロメートル位の港町、マル デ プラタへ旅行した。マルは海、プラタは銀と言う意味。つまり銀の海。ついでに言っておくと、マルデプラタより近い所に「マル デ アホ」と言う海岸がある。ほんとのほんと。アホはニンニクのこと。
で、このマルデプラタまでバスで5~6時間かかる。アルゼンチンでは長距離列車がないから、ブエノスアイレスから全国向けに長距離バス(ミクロと言う)が出てるんだけど、これが快適で素晴らしい。
料金にもよるけど、ハイクラスのは、座席の幅がゆったりしていて、しかも椅子を倒すと水平に寝て行ける。飛行機のファーストクラスってとこかな。乗ったことがないけど。
しかも寝ながら景色も見えるの。セルフサービスのコーヒーと冷たい水、それにスナックもつく。これで往復4千5百円位だから安いでしょう。
ブエノスアイレス市内を抜けると、あとは360度地平線の見える原っぱが4時間くらい続く。目に入るのは所々に小さな林があって、その木陰に牛の群れ、ときたま馬とか羊もいるけど、あとは草ばかり。
川や湖もたまにあるけど、アルゼンチンの国土の大半はまっ平らだから、川にも湖にも土手がない。湖の周囲は湿地帯になっていて、それが草むらの中に自然に消えて行く感じ。
アルゼンチンの主産業は牛だけど、この牛たち、入植者達が少し連れて来たのが自然繁殖したんだって。これだけ広くて草が一杯あれば、人間が手をかけなくたって自然に増えちゃうっての、分かるような気がする。
マルデプラタの漁港には、ロボ マリノ(海のオオカミ、つまりアザラシ)が数百頭いる。
数年前から国で保護してるんだって。
漁船の間を泳ぎ回ったり、陸に上がって、船乗り達が漁具の手入れをしてるそばで、どてっと寝てる。私も1メートル位の側まで寄って行って、おっかなびっくり記念撮影。
でも、絶対にアザラシより海側へ行ったらダメって注意された。海に逃げ込む退路を断つと、敵とみなして襲うんだって。で、このアザラシ達は全部オスで、繁殖期が来ると、メスのいる島へ移動するって、観光案内に書いてあった。
1頭が私達の方へ向かって泳いで来たから、あのどでかい図体で、どうやって陸にあがるのかと見ていたら、1メートル以上もある岸壁を、ひょいとジャンプして上がってしまった。おみごと!と感心したとたん、上にいた数頭が私の目の前で「ウオー」って、まさにライオンの雄たけびそっくりな声で吼えたから、腰を抜かしそうになった。
アザラシ達は頭を振り回しながら、ふた声み声吼えた後は、又頭を地面につけて目をつぶってしまった。一応縄張りは主張したぞと、見せつけただけで満足したらしい。
一方、海岸の方はと言えば、こちらは人間トドの群れ。ビキニの美女を観賞できると、期待に鼻の下を伸ばしていた夫には気の毒だが、大半がアザラシにも負けないような体形の中年以上の男女ばかり。
12月始めということもあって、まだバカンスのシーズンじゃないからだろうね。それにアルゼンチンの若者の失業率が高くて、若い人たちは、海岸に遊びに行くゆとりがないのかも。だからこのシーズン浜にいるのは、お年よりと外国人ばかり。
泳ぎもせず、砂遊びをするでもなく、ひねもすのたりのたり、浜辺に寝転がって肌を焼いてるの。ビキニや海水パンツからはみ出したブヨブヨの体は真っ赤っ赤で、まるで茹で上がったロブスターが砂浜に散乱しているみたいだった。
私達の泊ったホテルのオーナーは沖縄出身の日系二世で、顔も体もコロコロ、いかにも人の良さそうな、ほんわかした感じ。事実、親切この上なく、無料で丸一日観光案内して下さった。
アルゼンチンには日系人が3万人位いるらしいけど、大半が沖縄出身だそうだ。皆さん、ずいぶん苦労されたようだが、彼らの勤勉で誠実な生き方が評価され、対日感情がとても良い。
このオーナーと一緒に行ったレストラン。スズメがとても人なつこい。皿の上はアルゼンチン名物のエンパニャーダ。
アルゼンチン人のラテン民族特有のいいかげんさ、時間のルーズさにはかっかくることもままあるけど、冷たくされたり嫌な思いをさせられたりした事は一度もない。それどころか、老婦人たちの親切過剰に閉口したことも再三ある。
でも日本についての知識は限りなくゼロに近い。先ず、日本人か?と聞かれ「シー」と答えると、「トーキョー?それともタイワン?」
中国人が聞いたら、目むいて怒るだろうね。きっと。
マルデプラタの帰り、バスターミナルで予約したバス待っていたら、他の会社のバスは入って来たと思うと次々出発して行くのに、私達のは時間がきても一向に現れない。バス会社の人は制服着てないんでどれが係りか分からないから、だれかれなく捕まえて聞き回ったけど、答えはいつも同じ。「アオラ ビエネ(すぐ来る)」
しばらくしてやっと係りの人が来て「30分遅れる」と言う。ま、置いてきぼりされた訳ではなさそうなので、一応ほっとして、ひたすら待ったが、一時間待っても来ない。いつの間にかターミナルは数人残して空っぽになってしまった。残され組の人たちに聞いてみると、私達と同じバスとのこと。2時間たった頃、別会社のバスが来て、「乗れ」と言う。「でも会社が違う」と念を押したら、「提携してるからOK」だって。
この代替バスはあわてて調達したらしく、コーヒーも水も空っぽで、トイレの水も途中で出なくなってしまった。往きに比べて座席も狭く、背もたれもあまり倒れず、エコノミー並み。文句の一つも言いたいけど、なんせ言葉が通じない。言葉が通じるはずの他の乗客達は文句も言わないから、こんなことは日常茶飯事なんだろうね。
「
で、このマルデプラタまでバスで5~6時間かかる。アルゼンチンでは長距離列車がないから、ブエノスアイレスから全国向けに長距離バス(ミクロと言う)が出てるんだけど、これが快適で素晴らしい。
料金にもよるけど、ハイクラスのは、座席の幅がゆったりしていて、しかも椅子を倒すと水平に寝て行ける。飛行機のファーストクラスってとこかな。乗ったことがないけど。
しかも寝ながら景色も見えるの。セルフサービスのコーヒーと冷たい水、それにスナックもつく。これで往復4千5百円位だから安いでしょう。
ブエノスアイレス市内を抜けると、あとは360度地平線の見える原っぱが4時間くらい続く。目に入るのは所々に小さな林があって、その木陰に牛の群れ、ときたま馬とか羊もいるけど、あとは草ばかり。
川や湖もたまにあるけど、アルゼンチンの国土の大半はまっ平らだから、川にも湖にも土手がない。湖の周囲は湿地帯になっていて、それが草むらの中に自然に消えて行く感じ。
アルゼンチンの主産業は牛だけど、この牛たち、入植者達が少し連れて来たのが自然繁殖したんだって。これだけ広くて草が一杯あれば、人間が手をかけなくたって自然に増えちゃうっての、分かるような気がする。
マルデプラタの漁港には、ロボ マリノ(海のオオカミ、つまりアザラシ)が数百頭いる。
数年前から国で保護してるんだって。
漁船の間を泳ぎ回ったり、陸に上がって、船乗り達が漁具の手入れをしてるそばで、どてっと寝てる。私も1メートル位の側まで寄って行って、おっかなびっくり記念撮影。
でも、絶対にアザラシより海側へ行ったらダメって注意された。海に逃げ込む退路を断つと、敵とみなして襲うんだって。で、このアザラシ達は全部オスで、繁殖期が来ると、メスのいる島へ移動するって、観光案内に書いてあった。
1頭が私達の方へ向かって泳いで来たから、あのどでかい図体で、どうやって陸にあがるのかと見ていたら、1メートル以上もある岸壁を、ひょいとジャンプして上がってしまった。おみごと!と感心したとたん、上にいた数頭が私の目の前で「ウオー」って、まさにライオンの雄たけびそっくりな声で吼えたから、腰を抜かしそうになった。
アザラシ達は頭を振り回しながら、ふた声み声吼えた後は、又頭を地面につけて目をつぶってしまった。一応縄張りは主張したぞと、見せつけただけで満足したらしい。
一方、海岸の方はと言えば、こちらは人間トドの群れ。ビキニの美女を観賞できると、期待に鼻の下を伸ばしていた夫には気の毒だが、大半がアザラシにも負けないような体形の中年以上の男女ばかり。
12月始めということもあって、まだバカンスのシーズンじゃないからだろうね。それにアルゼンチンの若者の失業率が高くて、若い人たちは、海岸に遊びに行くゆとりがないのかも。だからこのシーズン浜にいるのは、お年よりと外国人ばかり。
泳ぎもせず、砂遊びをするでもなく、ひねもすのたりのたり、浜辺に寝転がって肌を焼いてるの。ビキニや海水パンツからはみ出したブヨブヨの体は真っ赤っ赤で、まるで茹で上がったロブスターが砂浜に散乱しているみたいだった。
私達の泊ったホテルのオーナーは沖縄出身の日系二世で、顔も体もコロコロ、いかにも人の良さそうな、ほんわかした感じ。事実、親切この上なく、無料で丸一日観光案内して下さった。
アルゼンチンには日系人が3万人位いるらしいけど、大半が沖縄出身だそうだ。皆さん、ずいぶん苦労されたようだが、彼らの勤勉で誠実な生き方が評価され、対日感情がとても良い。
このオーナーと一緒に行ったレストラン。スズメがとても人なつこい。皿の上はアルゼンチン名物のエンパニャーダ。
アルゼンチン人のラテン民族特有のいいかげんさ、時間のルーズさにはかっかくることもままあるけど、冷たくされたり嫌な思いをさせられたりした事は一度もない。それどころか、老婦人たちの親切過剰に閉口したことも再三ある。
でも日本についての知識は限りなくゼロに近い。先ず、日本人か?と聞かれ「シー」と答えると、「トーキョー?それともタイワン?」
中国人が聞いたら、目むいて怒るだろうね。きっと。
マルデプラタの帰り、バスターミナルで予約したバス待っていたら、他の会社のバスは入って来たと思うと次々出発して行くのに、私達のは時間がきても一向に現れない。バス会社の人は制服着てないんでどれが係りか分からないから、だれかれなく捕まえて聞き回ったけど、答えはいつも同じ。「アオラ ビエネ(すぐ来る)」
しばらくしてやっと係りの人が来て「30分遅れる」と言う。ま、置いてきぼりされた訳ではなさそうなので、一応ほっとして、ひたすら待ったが、一時間待っても来ない。いつの間にかターミナルは数人残して空っぽになってしまった。残され組の人たちに聞いてみると、私達と同じバスとのこと。2時間たった頃、別会社のバスが来て、「乗れ」と言う。「でも会社が違う」と念を押したら、「提携してるからOK」だって。
この代替バスはあわてて調達したらしく、コーヒーも水も空っぽで、トイレの水も途中で出なくなってしまった。往きに比べて座席も狭く、背もたれもあまり倒れず、エコノミー並み。文句の一つも言いたいけど、なんせ言葉が通じない。言葉が通じるはずの他の乗客達は文句も言わないから、こんなことは日常茶飯事なんだろうね。
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by ruriwada
| 2007-02-10 17:28
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