ハッスルおばあちゃんのアルゼンチン日記


by ruriwada

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瑠璃通信26

大聖堂と巨大コンドーム
 ルハン市はブエノスアイレスの北西65km、1560年建設の歴史的町である。アルゼンチンの守護神サンタ・マリア・デ・ルハンを祭る大聖堂があり、アルゼンチン人のメッカだ。宗教的行事のある時は、アルゼンチン中から何万人もの人が集まるという。ま、早く言えばお伊勢参りみたいなもの。
私の住んでるアパート近くのイタリア広場から、ルハン行きのバスが出ている。途中、夫の仕事先のモレノ市を通るので、夫はいつもこのバスに乗る。モレノまで約一時間、ルハンはさらにその先30分。
ある日曜日の朝、夫と二人でルハン行きのバスに乗った。終点ですよとか、ルハンだよと言うようなアナウンスはないから、終点だと思わずのんびり構えていた。ふと気がつくとバスの中は空っぽ。
大あわてで昇降口に向かうと、折り返しのバスに乗り込もうとしていた乗客達と鉢合わせ。先頭の人が「眠ってたの?」と聞くから「シー(ハイ)」と答えると、皆に大笑いされてしまった。
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バスターミナルを出ると、目の前に大聖堂がどかーんと建っている。大聖堂までの広い道の両側には小さな露天がびっしり。丁度日本の有名神社仏閣への入り口に立ち並ぶ土産物屋みたいな感じだ。
大聖堂周辺には博物館やら美術館、少し離れて公園やら遊園地があり、川も流れている。大聖堂の中ではミサが行われてる最中で、大勢の人が椅子に座って、司祭の話を聞いていた。
大聖堂を見た後、川の方へ向かった。川くだりの遊覧船があり、その側に、川の中にベンチがあった。え?どうして川の中にベンチがあるの?
首をひねりながら、船のチケット売り場へ行くと、12時ごろから運行するから、出直して来いとのこと。ブラブラ歩いていると、川沿いのレストランから美味しそうな匂いがただよって来た。近寄って見ると、中でアサドの肉類を焼いている。まだ焼き始めたばかりらしい。船から下りたらここで昼食を食べようっと。
先に博物館を見ようと、大聖堂隣の宗教博物館に行ったら、閉鎖中だそうだ。次に歴史博物館へ行く。庭はきれいだが、展示品は大したものはない。中庭に蔵のような建物がいくつかあるが、どれも閉鎖してある。窓から覗くと、埃にまみれた古い家具類が乱雑に重なり合っているのが見えた。予算がないからなのだろうが、もったいない話だ。
その次に入った交通博物館は見応えがあった。シャーロックホームズの映画に出てきそうな馬車が沢山ある。中には貴族でも乗せたのか、すごい豪華な馬車もある。他に古い客車や飛行機もあった。
船着場へ戻るともう船には沢山人が乗っている。ふと水面に目を向けると、先ほどのベンチが水の上に出ている。桟橋の上にベンチがあったのだが、水が引いて姿を現したのだ。ラプラタ川からかなり上流なのに潮の干満があるとは知らなかった。
船は30分かけて川を上下するが、流れがなくどちらが上か下か分からない。岸辺にはピクニックの家族連れが三々五々散らばっていて、船に向かって手を振っている。こちらも手を振り返す。岸の木のかなり高い枝にプラスチックの袋が沢山引っかかっているのを見ると、水量がかなり増える事があるらしい。
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              船の上から見た大聖堂
船を降りたとたん腹の虫が鳴き始めたので、舌なめずりしながら先ほどのレストランへ向かう。川の見える席に陣取って、早速アサドを注文。運ばれて来たアサドの牛を切り分けようとしたら、切れない。
夫がナイフと格闘してやっと切った肉切れを口に入れたが、今度は歯が立たない。まるで古タイヤでもかじってる感じだ。よほど安い肉を使ったのだろう。
牛をあきらめ、鶏肉に挑戦すると、こちらは焼きすぎで肉がパサパサ、しかも小さい。チョリソー1本を夫と半分ずつ食べたが、これは唯一まあまあ。残りの臓物類は不味くて食べれた代物じゃない。もっとも、乞食腹の夫の方は全部平らげてしまった。
仕方なくパンだけかじり、水をがぶ飲みして店を出たが、腹の虫はグーグー文句を言い続けだ。観光地の食事が高くて不味いのはどこの国でも同じらしい。
帰りは夫がどうしても汽車にしたいと言うので、わざわざタクシーで遠い駅へ向かう。
夫は時々モレノから汽車で帰るのだが、床が鉄の超レトロな客車だそうで、私に一度見せたかったらしい。
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        モレノからブエノスアイレスに向かうレトロ列車
ルハンの駅は小さくはないのだが、どこからでも中に入れる。ただ乗りが多いんじゃないかと人事ながら気になった。案の定、モレノで乗り換えのとき、いったん外に出たが、改札もなく、ただ乗りしてもバレなさそうだ。
 モレノを過ぎてしばらくして、若者数人が乗ってきて床に座り、大声でしゃべったり歌を歌い始めた。私がフックに下げた自転車を撮ろうとシャッターを押したら、自分達を撮られたと思ったのか「フォト!フォト!」と叫び始めた。
あ、やばい、と一瞬思ったが、どうやら喜んで興奮したらしかった。アルゼンチン人は写真に写るのが大好きらしい。街角でもカメラを向けると、大喜びでポーズをつけてくれる。この国ではまだ、プライバシーの侵害だと目くじら立てる御仁はいないようだ。
話は逸れるが、ブエノスアイレスの公共の乗り物の混雑振りは日本に負けず劣らずだが、どうもチカンとやらはいないらしい。挨拶がハグ(抱擁)とベソ(キス)の国では、男性諸君のモヤモヤ感は自然解消されるのだろうか?
それに、こちらの女性達は気が強いから、お尻にでも触ろうものなら、たちまちビンタを食らうのが落ちだろう。性には大らかな国民性だ。周りもチカンを取り押さえるより、大笑いでチョンだろう。
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       中央の白い塔がオベリスク
市の中心に高いオベリスクがでんと立っているが、ブエノスアイレスっ子の間では男性のシンボルを表すとのこと。「エイズ撲滅キャンペーンの日」には、市当局がこのオベリスクを巨大コンドームで被ってしまうと言う。 
大聖堂の大きさにもびっくりしたが、巨大コンドームとはまさに恐れ入谷の鬼子母神だ。
どうも今回は大聖堂から性の話題に飛んでしまってすみません。
by ruriwada | 2007-10-26 21:50 | Comments(1)

瑠璃通信25

 友人2人とレティロのオムニブスターミナルで落ち合って、4人でラプラタ行きのバスに乗る。ラプラタまでラピド(急行)で一人6ペソ(約240円)。レティロから20分毎に出ているバスは快適で、約2時間後ラプラタのターミナルに到着。最後部座席の若者二人は終点でもぐっすり眠ったまま。他の乗客が起こしてやっていた。
 この国のバスは終点でも中を点検したりせず、そのまま復路の乗客を乗せて出発するから、眠り込むと元に戻ってしまう。
さて、バスの外に出たら、寒いこと。ブエノスアイレスでバスに乗るまではさほど寒くなかったのに。ラプラタはブエノスアイレス州の州都で、ブエノスアイレス市の南東56kmの所にある古都だ。モレノ広場を中心に左右対称に広がる道路の名前は全部数字である。分かりやすいと言えば分かりやすいが、何とも味気ない。もしかしたら住民は全部ロボットだったりして・・・SFの読みすぎ?。
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                 ラプラタ市庁舎
 この町の外れにある自然公園で私達のグループの一人K氏が働いている。タクシーに「自然公園」へと頼むと、知らないと言う。4人分の乏しいスペイン語をフル活用して何とか方向だけは通じたらしく、タクシーは走り出した。
 あっという間に町を抜けると周りはど田舎。タクシーは無人の駅前で車を停め、ここからは歩いて行けと、下ろされてしまった。何とまあ商売気のないおっさんだこと。それとも外国人をあちこち引っ張りまわして稼ぐ悪質タクシーと思われたくなかったのか・・・・
あるいは、怪しげなアジア人4人組に変な場所へ連れて行かれ(?)、売上金を強奪されるとでも思ったのかも・・・案外これが正解だったりして。
 途方にくれて見回すと近くに一軒だけ店があった。ここでは件の公園を知っていて、2キロ先とのこと。歩き始めてしばらくして、まてよ・・・
「アルゼンチンで道に迷ったら最低3人に聞きなさい。知らなくても知ってる振りをして教えるから」と、來亜前に在日アルゼンチン人から注意を受けたのだが、確かにその通りだ。
 一人だけに聞いてその通りに歩き、方向違いで何度泣かされたことか。警官でさえもそうだ。この公園の中を通って行けば近道だよと教えられて行ったら、行き止まり。引き返してその警官に告げると「え?行き止まり?知らなかった」と、にこにこ。
アルゼンチン人は実に親切なのだが、実にいいかげんなのだ。
 この時も嫌な予感がして、K氏にケータイで電話すると、案の定、「とんでもない、7キロぐらいある。タクシーに乗った方が良い」とのこと。タクシーをつかまえようとしたが、いくら待っても1台も通らない。あきらめてしばらくブラブラ行くと、レミス(ハイヤー)の事務所があったのでほっとした。
 乗ってみればなるほどかなり遠いし、公園の入り口から管理事務所までが又かなりある。途中、道の片側に200人程の人や車の列がある。ピケかと一瞬緊張したが、どうやら選挙の候補者の宣伝だったようだ。こんな田舎で見る人もいないだろうに。
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         ラプラタ自然公園内の管理事務所
公園は全くと言って良いほどの自然公園でその広いこと。200ヘクタールあるそうだ。管理事務所の人達は家庭的で皆感じが良い。Kさんが公園内を案内して下さった。
事務所の屋根にフクロウが止まっていたが、そのフクロウの巣が、草むらの中にぽっかり開いた穴の中だと聞いてびっくり。鳥が地下に巣を作るとは!このフクロウ、どうもハリーポッターに出てくる豆フクロウらしいが、k氏も確信はないとのこと。
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              フクロウの巣穴
野生のインコ(明るいグリーン)が木に枯れ枝を重ねて巨大な巣を作り、集団で生活している。出入り口が数ヶ所あり、まさにインコのアパート。それを鴨の群れが時々襲うそうだ。別にインコを食べる訳でなく、どうして攻撃するのかは分からないらしい。
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     上はインコのアパート、下はその剥製
公園には実に様々の小動物や鳥がいる。木の上に大きな泥で固めた壷みたいな巣を作っている鳥もいる。フクロウも数種、猛禽類やウサギ、ウサギくらいの大きなネズミもいる。
植物も様々。「ラシャかき」と言う植物はラシャを毛羽立たせるのに使っていたからだそうだ。日本から寄贈された桜、梅、楓もあった。紅梅がきれいな花をつけていた。皆で鼻を近づけ、いっせいに「あ、日本の香りがする!」
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       ラシャかき草
 2時間ほど寒さに震えながら公園内を歩き回ったが、四六時中1匹のドーベルマンがk氏に甘えながらまとわりついて回るのが微笑ましかった。他にも2匹の犬がいて、他の犬達がk氏のそばに寄って来ると、たちまちうなり声を上げて追っ払う。ドーベルマンはオスなのだが、どうやらK氏を自分のものだと思ってるらしい。
 もうすぐ任期を終えて日本に帰られるK氏。さぞこのワンちゃんとの別れが辛いだろう。12時ごろレミスで、セントロにある科学博物館へ向かう。建物には博物館とは書いてなく、大學とあったので間違えたかと思ったが、この博物館は大學の一部なのだそうだ。
最初一人12ペソと言われたが、夫が「4人で団体割引はないの?」とふざけて言ったら、そばにいた人が「アルゼンチンにいつ来たの?」と聞く。
「数カ月前」と答えると、「住んでるなら割引があるはず」と言う。係りにアルゼンチン発行の証明書を見せると、4ペソだとのこと。
 博物館には恐竜の化石が一杯あって迫力満点。他にも国中の動物、昆虫などの剥製や鉱物なども完備していて素晴らしいが、予算がないのか暖房がなく震えながら見た。まさに骨まで凍る寒さ・・・なあんちゃって。展示物もかなり埃がたまったりくすんでいたりで、手入れが行き届いていないようだ。もったいなあとつくづく思う。
 この後、K氏お勧めのパンケケ(クレープ)専門店でK夫妻と待ち合わせ。店は人気があるらしく、順番待ち。クレープと言うとデザートと思っていたのだが、ここのは中にチーズや生ハム、野菜などが入った軽食だ。
 K氏が頼んだブルーチーズ入りのを少し食べさせてもらったら、美味しかった。病み付きになりそうな味だ。K夫妻は共にワイン通で、飲んだワインの名前と値段、味、香りなど全て書き留めておられる。その夫妻が選んだワインはさすがに美味しく、皆でハウスワインを3本空ける。
 食事の後はほろ酔いカゲンで町を散策。古都だけあって石造りの古い豪壮な建物が多い。カテドラルに入ったが、ここはステンドグラスで有名だそうで、見事なステンドグラスで囲まれた内部は実に美しく神秘的だ。
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 帰りは別会社のバスに乗ったが、こちらはラピドで4.6ペソと格安。トイレもついた快適なバスだ。夫は毎日チョーオンボロバスで一時間通勤してるが、3.5ペソもかかる。
「どうしてだ。この国は一体どうなってるんだ」と夫は一人で憤慨している。
ブエノスアイレスに着くと、ラプラタでの寒さがウソのような気温だ。人口密度が高い上、車の排気ガスがモウモウときてるから、炭酸ガスの影響で温度が2~3度高いのだろう。
by ruriwada | 2007-10-13 02:27 | Comments(0)