ハッスルおばあちゃんのアルゼンチン日記


by ruriwada

瑠璃通信13

アルゼンチンと言えばタンゴ。そして私は大のタンゴ好き。夫のアルゼンチン赴任が決った時、私は仕事も、大学院生の息子も放り出して夫について来てしまった。
帰国するまでに絶対、スペイン語とタンゴをマスターしてやるぞーと、大張り切りではるばるやって来たのはいいが、タンゴショーを見たとたんずっこけた。
女性の方は足を高く上げたり、男性に空中に持ち上げられたりと、まさに飛んだり跳ねたりのアクロバット。一回でもあんなに高く足を上げたら、たちまちぎっくり腰は間違いない。もっとも、上げたくても上がらないが。タンゴは見るだけにしてあきらめ、スペイン語の習得に専念することにした。
タンゴは最初、ブエノスアイレスのボカ地区で、貧しい移民達や酔いどれ船員達が男同士で余興で踊っていたのだそうだ。イタリアはジェノバの港から、貧しい移民たちがたどり着いたのが、ラプラタ川(銀の川の意味)の河口、ボカである。そしてこのボカの通りがかの有名なタンゴ曲「カミニート(小道)」である。タンゴの歌詞は失恋や恋慕の歌が大半で、ま、日本の演歌と言ったところ。
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タンゲリア ” ラ・ベンタナ ”
ボカ地区やフロリダ通りと言う歩行者専用通りでは、大道芸人達によるタンゴの踊りが毎日のように見られる。日曜には市内のあちこちの公園でもタダで見ることが出来る。
2月にはタンゴフェスティバルがブエノスアイレスで開かれ、市内各地のイベント会場でプロによるタンゴ曲の演奏やダンスをただで見ることが出来た。
期間中バスに乗ったら青年に「にほんごはなしますか?」と、たどたどしい日本語で話しかけられた。コルドバ(ブエノスアイレスから700キロの所にある、アルゼンチン第2の都市)からフェスティバルに参加しに来たタンゴバンドのギター弾きだそうで、日本公演にも何度か行ったことがあるとのこと。
日本で知り合った女性に、「あなたはキレイです」と言うべきところを「あなたはキライです」と言ってしまい、まさに嫌われてしまったと、笑っていた。私もれいのククルーチョ(ソフトアイス)とクカラーチャ(ゴキブリ)を混同した話をすると、大笑いしていた。
8月にはタンゴ世界競技大会が行われる。しかも我が家のすぐ近くの会場で行われると言うから、今から楽しみにしている。
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        ラ・ベンタナのダンサーとツーショット
食事をしたり飲んだりしながらタンゴが見れる店をタンゲリアと言うが、ブエノスアイレス市内にはディナーつきのタンゴショーを見せる大型のタンゲリアがいくつかある。これは観光客向けに、舞台の仕掛けも大げさ、踊りもアクロバット的な派手な振り付けが多い。 
太ももまで切れ目の入ったスカートをクルクル、ヒラヒラ回しながら踊るのだが、実に器用に腰をひねるので、けして下着は見えない。パンチラを期待して行った男性諸君は残念だろう。
私が行ったラ・ベンタナは有名なタンゲリアで、タンゴの他にフォルクローレや、ガウチョのダンス、ケーナの合奏など、盛り沢山のサービスだった。
それにしてもダンサー達のかっこいいこと!男性も女性もほっそりと、背が高く、おまけに美男美女ときてるから、うっとりと見とれてしまう。
客席はせいぜい20くらい、飲み物と食べ物はほんのおつまみ程度と言う、バーのようなタンゲリアも数多くある。ダンサーも1組か2組で、派手なパフォーマンスもないが、美味しいアルゼンチンワインを手に、ブエノスアイレスの夜をじっくり味わうにはこちらがぴったりだ。
ミロンガと言う、客がタンゴを踊りに行くバーも沢山あって、こちらは手頃な値段なので、地元の人達は老夫婦でも気軽に踊りに行くらしい。
日本では最近タンゴブームとかで、ブエノスアイレスにはタンゴを習いに来る日本人がけっこういる。町中で何人かの日本人女性と出会って話すと、「タンゴを習いに来た」と言う。若い人も中年女性もいた。
スペイン語を習ってる学校ではタンゴも教えていて、先生はプロとして活躍中の日本人女性。このヨウコ先生から
「アクロバット的なのは観光客に受けるためにやってるのであって、本物は社交ダンスとして老夫婦でも踊れるような簡単なものだ。美容体操と思ってやればいい」
とおだてられ、一度はあきらめたタンゴを習い始めた。
ところがなんのその、基本でもかなりハード。「ほら、頭を上げて!下を見ない!ぴょこぴょこ体を動かさないの!」と、ヨウコ先生に怒られながら、一時間半のレッスンを終えるとクタクタ。
今のところはタンゴどころか、ダンゴ虫がころころ転がり回ってる感じで、こんなダンゴ虫のお相手を余儀なくされてる若いA君は気の毒だ。ヨウコ先生も私のあまりの下手さに時々ため息をついておられるが、そこはオバタリアン。
「上手な人には誰でも教えられるけど、こんなへたっぴーに教えるのは教え甲斐があるでしょう」とうそぶいて、先生を苦笑いさせている。
タンゴは一向に上達しなくても、姿勢が良くなることだけは確かだから頑張っているが、翌日は腰をさすり、足をひきずりの状態。
 先日はタンゴのレッスンの後、二人の日本人青年と知り合った。タンゴの踊りではなく、楽器のほうの勉強に来ているのだそうだ。バンドネオンをやってるという。
「バンドネオンって何ですか?」と聞いたら、
「ええっ!?タンゴ習ってるのにバンドネオン知らなかったの?」と、ヨウコ先生がのけぞった。・・・ごもっとも。ずっとアコーディオンだとばかり思っていたのだ。
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          小さなタンゲリア
さて、そのヨウコ先生が私のアパートから1km程の所にあるタンゲリアで踊られると言うので見に行った。幸い、夜九時半という割と早い(!)時間の開始なので、いつもは9時半には寝てしまう夫をなだめすかして、用心棒代わりについてきてもらった。
外見は普通の小さなバーだが、壁際に30センチほどの高さのステージがあり、ステージと客席の間に一坪ちょっと位のフロアがある。やたら愛想の良いモソ(給仕)お勧めの1本20ペソ(約800円)のマルベックの赤ワインを飲み、1個3ペソ(120円)のエンパニャダをつまむ。
バンドネオンとヴァイオリンとコントラバスとピアノだけのバンドのメンバーは中年以上のロートル達だが、黒い服が似合ってかっこいい。
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       ヨウコ先生のタンゴショー(Cafe Homero・・パレルモ地区)
最初の数曲は司会を兼ねた歌手がしぶい声を聞かせてくれた後、突然、華麗なペアのダンサーがフロアに現れた。昼間の男性的な格好の先生からは想像もつかないような、妖艶な姿に、しばし唖然。
一曲ごとにドレスを変えて、“夜の蝶”は語弊があるが、まさに蝶の如くヒラヒラ、そして激しくしかも軽やかに踊る姿は優雅で、見ていてため息がでる。
10年習っても私にはこんなに軽やかに踊れそうもないが、帰国するまでにはダンゴ虫コロコロ状態は卒業して、せめてアヒルのダンスぐらいにはなりたいものだ。ああ・・・
Commented by くみ at 2007-07-31 05:16 x
いつもアルゼンチンからの楽しいお便りをありがとうございます。
るりさん、とうとうタンゴを始められたのですね。このところコーラスでタンゴを数曲歌っています。 "Caminito"も本にのっています。 良い曲ですね。 「淡き光に」、「ママ恋人が欲しいの」、「小雨降る道」、「小さな喫茶店」,"Jealousy" そして"Tango Notturno"を暗譜してサロンコンサートもしたのですよ。次回は30周年になるので、バンドネオンの伴奏で演奏会を考えているのですが、バンドネオンの演奏者が日本にはあまりいないのです。ブエノスアイレスの若いハンサムな青年が来日していないかし
ら? 来年の2月なんですけれど。
by ruriwada | 2007-07-06 02:46 | Comments(1)