ハッスルおばあちゃんのアルゼンチン日記


by ruriwada

瑠璃通信9

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       ブエノスアイレスの街角
昼頃トイレと洗面台の水が出なくなった。この前の時は外出して、数時間後に戻ったら直ってい
たので、今回もしばらく静観していたのだが、修理の音が聞こえない。もしかして我が家だけかと、管理人のホルヘを探しに行ったがいない。
2時間ほどして又探しに行ったら、丁度ホルヘが自転車で帰って来たところだった。事情を話して待つことさらに3時間、6時頃やっと水が出た。トイレを我慢すること数時間、まさにフンづまり状態の半日だった。
ブエノスアイレスの大半のビルは、外見は石造りで堂々としていて、とても綺麗なのだが、何しろ築百年ぐらい経ってるのが多いから、トイレ周りの故障が多い。旧式のトイレは水を流しても、中の紙がグルグル回るだけでなかなか排出されない。
我が家のトイレも3ヵ所あるが、新式のは一ヶ所だけで、これはすぐ流れるが、他のは一回に続けて3回から5回流さないと、紙が流れない。手洗いの蛇口も水がポタポタ、なかなか止まらない。
おまけに、我が家のキッチンの水道の蛇口は右がお湯、左が水なのだが、何故か時々お湯と水が逆に出るのだ。いまだにその理由が分からない。
下水の方もお粗末。配管が細いので、毎日バスタブを使うと階下の家が水漏れを起こす事がよくあるらしい。アルゼンチン人はいつもシャワーだけで、バスタブはめったに使わないので、問題ないらしいが、日本人に部屋を貸すと問題が起きますと、不動産屋が言っていた。
BsAsは4月に入ってから連日雨続きで、しかも土砂降りが多い。そんなある日、突然ゴボゴボとすごい音がし始めたので、騒音の源を探し回ったら、我が家の廊下の洗濯用タブ下の排水口から、まるで噴水のように勢いよく水が噴出しているではないか。廊下は勿論水浸し。
廊下に並べてあった靴類を慌てて片付け、ホルヘの所に飛んで行き、「アグア、アグア(水、水)」と、叫ぶと、ホルヘは目を白黒。水道でも壊れたと思ったのか、おっとり刀ならぬ工具類を片手に駆けつけてくれた。
ところがホルヘは廊下に噴出す水を見ても、ちっとも動ぜず、上を指差して「ジュビア(雨)、ノープロブレマ(心配ない)」ときた。絶句している私に向かって、ホルヘは続けて「雨がいっぺんに沢山降ったので、配水管が流しきれないのだ。どの家も同じ。そのうち排水されるから、心配ない」と言う。
廊下の水も一定量より増えないようだし、まあ、いいか。ん?まてよ。屋上に降った雨水がどうして家の中の配水管を流れるんだろう?
アルゼンチンに来て以来、七不思議どころか、百不思議と言ってもいいぐらい「?」の連続だが、又一つ新たな謎が加わった。
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  私のアパート前の屋台の花屋さん一家(ここで30年営業している)
電気の方は怖い。230ボルトだから取り扱いに注意しないと危険だ。夫は一度、電球交換中に危うく感電死するところだった。
我がゴキブリハウスの天井はバカ高く、部屋の奥行きが広いから、昼間でも暗くて電灯が必要だ。その電灯たるやほとんど白熱電球で、居間のシャンデリアには60ワットの電球が8個もついてるが、全部上向きなので、点けてもなお暗い。おまけにこれだけで480ワットもあるから、電気代が大変だ。
家中の電球を蛍光灯に替えることにし、とりあえず10個の電球型蛍光灯(1個に3本の8cmぐらいのヘヤピン型の蛍光灯がついている)を買ってきたら、そのうち3個が点灯しない。
翌日領収書を持って交換してもらいに行くと、「電灯類は交換しない」とにべもない。
「だって昨日買ったんですよ」と大声で言っても「買う時にチェックしなかった、あなたが悪い」の一点張り。
 マジギレして、思わず「インクレイブレ(信じられない)!」と怒鳴ってしまったが、若い女店員はそっぽを向いて知らん顔。どうもこの国の辞書には謝罪の言葉がないのではないかと思いたくなることがままある。
それはさておき、夫がテーブルに上って交換し始めたとたん、突然バキッと言う音と共に家中の電気が消え、夫の叫び声が聞こえた。
パニクッて呼んできたホルヘがブレーカーを上げると、電気が点き、夫がしきりに片手を振り回している。
「しびれたー」と言う夫に向かって、ホルヘが「電圧が高いから、必ず電源切ってからやらないと危ない」と、お説教。
 その電圧も不安定で、日本から持参した230ボルト対応の電気炊飯器でも、電圧安定器を使わないと、出火するとのこと。現に知人二人が電気ガマを黒コゲにしている。
因みに、日本でいつもやっていたように、乾燥ハーブを作ろうと、電子レンジにバジルを入れたら、中でバジルが燃え出したのにはびっくりした。
 停電も多いから、3階に住む私達はなるべくエレベーターを使わないようにしている。おかげでダイエットもしないのに、3キロ体重が減ったのは思わぬもうけものだった。
ある日パソコンを使っていたら、部屋中の電球が突然暗くなったり、明るくなったりを繰り返し始め、どこからか、ウオーン、ウオーンと言う、モーターのうなり声のような大きな音がし始めた。
 あわててパソコンを終了し、音源へ駆けつけると、炊飯器の電圧安定器がうなりを上げ、赤いランプがこれ又、明るくなったり暗くなったりしている。コンセントを抜くべきか、感電が怖いしと、迷ってるうち、またまたバキッと停電。
 日中だったのでブレーカーを見に行ったが、異常ない。ドアを開けると、いつもは点いている、アパート内の明かりが全部消えている。ああ、又停電かとほっとして(!)、しばらく待ったが一向に回復しない。
 通りへ出てみると、商店、ビルの入り口で、店員、ポルテーロ、住民達が所在なげに立ち話中。1区画全部が停電したのだそうだ。私も仲間に入れてもらって観察していると、皆知り合いらしく親しげだ。商店も住民も何十年と住んでる人が多いそうで、何となく東京の下町の雰囲気がある。そういえば、家の近くの公園では毎日のようにお年寄り達が集まって、チェスやマージャンを楽しんでるのを見かける。
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停電のお陰で、BsAsの違った面を知る事ができて嬉しくなった。
by ruriwada | 2007-04-21 21:38 | Comments(0)