ハッスルおばあちゃんのアルゼンチン日記


by ruriwada

瑠璃通信2部 85 こわーい列車

ブエノスアイレスから約60キロのエスコバル市で日本語学校の生徒向けに夫の講義があるのでついて行った。バスでイタリア広場まで行き、エスコバル行きのセミラピドのバスに乗る。エスコバルまで1時間半。
エスコバルには花づくりの日系人が多く住み、9月には盛大な花祭りが行われる。ここには前回アルゼンチンに滞在した折に親しくなったkさんがお住まいで、何度も訪れた事がある。今回もバス停までkさんが迎えに来て下さり、kさん宅で昼食を御馳走になった。
夫が「帰りは列車にする。一度この線に乗って見たかったんだ」と言い出した。駅まで車で送って下さったKさんが、「本当に列車で帰るんですか?汚いですよ。バスの方が良いのでは」と心配して下さったが、頑固な夫は一度決めたらてこでも自説を曲げない。
駅のチケット売り場はホームの中にある。隣のホームへの陸橋はなく、線路の上を横切る。駅へは出入り自由で、野良犬も数匹ホーム内を我が物顔に歩き回っている。
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                 エスコバル駅構内をわがもの顔に歩き回るワンちゃん達
乗って見て納得、なるほど汚い。窓は透明プラスティックでしかもヒビが入ったり破れたりしている。天井の蛍光灯は金網で囲われている。蛍光灯が盗まれるのを防ぐためと、蛍光灯を割って暗くして強盗を働くのを防ぐためとか。
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                         蛍光灯は全て金網で囲ってある
ピストルをポケットに差した警官が2名デッキのそばに立っている。何やら不気味な雰囲気だ。走行中、焦げる臭いがしてきた。列車はディーゼルエンジンで、スピードが落ちると割れた窓から煙が入って来るのだ。
しばらくすると今度は強烈な悪臭。ゴミ捨て場のそばを通過したのだ。沿線にフォードの自動車工場があり、作業員らしい人達が10人程乗り込んで来て、デッキのドアそばでガヤガヤ。
やがて駅が近づき列車がぐんとスピードを落とすと、デッキの連中が全員隣の線路へ飛び下りて行く。何てせっかちな、乗り換え列車がすぐ来るのかな、と思っていたら、何と列車はスピードを上げて通過してしまった。
その少し先からビジャ(貧民窟)が始まり、線路際までびっしりバラックが密集していて、家の中まで丸見え。列車は止まると危険なので、徐行して乗客を飛び下りさせ通過するのだそうだ。
途中で原っぱを過ぎる時、子供が数人駆け寄って来たかと思うと、いっせいに列車に向かって石を投げ始めた。ビジャの子供達が列車の窓を割るゲームをするので、乗客が怪我をしないよう、窓は全てプラスティックにしてあるのだ。
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          線路は広軌なので列車の幅が広い。座席が2席と3席で一列に5席ある。
終点で、サンマルティン線に乗り換えた時は心底ほっとした。乗っている乗客の雰囲気もまるで違う。後で日系の友人に話したら唖然として、
「あの列車に乗ったんですか?ビジャのすぐそばを通るので、ブエノスアイレスで一番危険な列車ですよ。よくまあ無事で。二度と乗らないで下さい」と言われてしまった。道理で警官が乗っていたはず。
アルゼンチンに来て一番怖い経験をした。
因みに、エセイサ国際空港に向かう高速道路もビジャのそばを通るので、たとえ車がパンクしても走り続けなければいけない。路肩に車を止めたら最後、たちまち襲われて身ぐるみはがれしまうと言う話だ。
まるで西部劇に出てくる列車強盗や駅馬車強盗の世界だよ。
Commented by よいこ at 2010-07-13 19:53 x
 無事でよかったです。ビジャの周りはこわかったでしょう。

うちの3男はラプラタに住んでいたのですが、ラプラタ行きの高速バスがビジャの近くを通るので怖いといつもいっていました。

 今日は楽しみです。
by ruriwada | 2010-07-11 19:13 | Comments(1)