ハッスルおばあちゃんのアルゼンチン日記


by ruriwada

瑠璃通信2部 45 人身事故?

私の住むレコレタ地区にはブエノスアイレス名物の墓地がある。墓地が名物だなんて、と見たことがない人は思うだろうが、これは一見の価値がある。高い塀で囲まれた広い墓地の中は、2階建て3階建ての大理石の家の様な墓が立ち並び、まさにブエノスアイレス市のミニチュアだ。
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              塀の内側が墓地(建物は全てお墓)
塀の外は公園になっていて、毎週末フェリア(ノミの市みたいなもの)が開かれている。公園の周囲はレストラン街。公園の中まで張り出したテラスには椅子テーブルが置かれ、いつでも客で溢れている。とにかくアルゼンチン人は戸外で食事をするのが好きらしい。
14日の日曜日、土産物を買おうと、大目にお金を持ってフェリアに出かけた。人混みの中、品定めしながらブラブラしてると、突然ガシッとハンドバックを抱えた腕をつかまれた。スワッ、引ったくりか?
とっさにハンドバッグをしっかり握りしめたが、グイグイ腕を引っ張られる。必死でもぎ放そうとして、腕の先を見ると、中年のウルトラヘビー級の婦人が地面に片膝をついてぶら下がっていた。でこぼこの石畳に転びそうになって、とっさに私の腕をつかんだらしい。
やっと手を放してくれたが、そのとたん、腕が猛烈に痛いのに気がついた。腕をさすっていたら、連れらしい人が、私に気の毒そうに「大丈夫か?」と聞いたが、肝心の人間ダンプの方は、私の腕のお陰で怪我もせずにすんだのに、一言のお詫びもなく行ってしまった。もっとも、気が動転していて、それどころじゃなかったのだろうから、許してあげよう。
それにしても、まさか公園内で人身事故に遭うとは。
痛む腕をさすりながら歩いていると、オペラの様な素晴らしい歌声が聞こえてきた。そちらに足を向けると、レストランの公園内テラスの所で、二組の男女がソプラノとテノールで歌を歌っている。思わず聴き惚れてしばらく拝聴。歓喜の歌も歌った。
痛い思いもしたが、それにお釣りが来るようなラッキーチャンスだった。
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     素晴らしい歌声を聴かせてくれた人達

これはレストラン主催だが、ブエノスアイレスでは至る所の公園内で、毎週プロによるタンゴダンス、ギターなどの演奏や歌が披露され、無料で楽しめる。
また、毎年12月、クリスマス前の土曜夜には、リベルタドール大通りとサルミエント大通りの角の公園で、「アマデウス」と言う有名なオーケストラがモーツアルトを演奏する。私も一度聴きに行ったが、両大通りは封鎖され、数万の群衆が道路に座り込んで、私語一つ発せず、うっとりと聞き惚れているのを見て、感動した。よほど音楽好きな国民性らしい。
一説によると、この国民性を利用して、歴代の指導者は国民の不満を懐柔するために、無料で演奏会などを行っているのだとか。
by ruriwada | 2010-02-25 04:47 | Comments(0)